労務管理

 医院経営で一番重要で、一番難しいのがこの部分ではないでしょうか。開業医の先生方とお話しするとき、スタッフの問題がよく出てきます。医院開業前に考えていたイメージと人の部分が一番違っていたなどといったものです。私も採用の面接時に同席したりするのですが、飛び抜けて採用したい方と飛び抜けて採用したくない方は大体予想つくのですが、他の方は面接時とその後の対応が違ったりすることは多くあり本当に難しいなと感じます。

しかし、現実魅力のあるスタッフであればその人個人に患者がついていることも多々ありますし、医院として地域の顔になられているケースもあります。こういったケースで全体がよいケースと、その人個人がよいケースがあります。前者は院長の医療理念や考え方をスタッフが十分に理解しそれを実行することが当たり前になっているケースや、後者の場合はその人個人が医療人として考え方、コミュニケーション能力があり魅力があるケースでしょう。

要は考え方を徹底し、自院のスタッフとして医療理念を実現するためあたりまえのことが実行できることが大事なのではないでしょうか。
私見かもしれませんが、人は考え方があって、相手に対する感情や思いを表現します。言葉であったり、態度であったり、気配りであったり、スタッフも自身の自分の仕事に対する考え方や感情があって行動しているのだと思います。

医院ではありませんが(医療とは違うため怒られるかもしれませんが)、私が知っている方でケーキ屋のコンサルティングをされる社長がいらっしゃいます。その方がコンサルをしたケーキ屋は新規も既存の建て直しも全て成功しているそうです。あるとき私もどんなことをしているのか教えてもらおうとして何でうまくいくのか聞いたのですが、当たり前のことをしているだけと言います。よくよく話を聞いてみるとまず最初にクライアントに対し「100%自分に任せてくれるか。」と言い、その場合のみコンサルティングをするそうです。
そして既存の場合まず通常業務をしてもらうそうです、そして「40箇所問題点があったので、その問題点と対策を自身で出してください。
」と言うそうです。当人は問題点に気づかず当然のこととしてその行動をとっているわけで、何が問題点かなかなか出てこないそうです。
最初の20くらいは割りと早く出るらしいのですが、最後の10くらいはなかなか出てこないそうで、しかしそこでも絶対答え(問題点)は教えないそうです。最後は人格破壊みたいになってもうやめるなどと言って来ることも多々あるそうです。そこで100%任せると言ったじゃないですかと。そんなやり取りの中最後まで自分で答えが出せたころには考え方がかわっているそうです。お客さんにとって当たり前のこととして、そのころには行動も態度もかわって自然に実行できているそうです(人の部分についてのコンサル部分だそうですがこの部分が約7割をしめると言われていました)。

また、人は感情がありますし、モチベーションや不平不満が出てこないよう、出てきても納得できるような整備が必要です。
基本的整備としては、雇用管理、能力管理、組織管理、労使関係管理などといったことがあります。
各論でいくと、採用、賃金、福利厚生、労働時間、職務設計、退職、能力開発、教育訓練、人事考課、組織(医院の場合はフォーマルな組織のみではなく、女性が多い職場でもありインフォーマルな組織の影響力も)コミュニケーションなどなど。
これらを就業規則などの規約や、報酬制度などとからめたりしていきます。